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すでに10組くらいの人が並んでるホットドック屋の列に私と藤木も加わった。
手作りの文字がそこらへんに売ってるホットドックとの違いを感じさせてくれてそそられる。
ワクワクしながら、ホットドック屋のおじさんが作業してるのが見えないかなと背伸びしてみたけど、まだまだ先頭はずっとむこうで見えない。
「花より団子だったんだね。さっき紅葉を見上げて歩くエリーを見たときは花より団子のタイプじゃないのかと思ったけどさ。」
クスクス笑ってくる。
「腹が減っては戦はできぬでおじゃる。」
「ふっ、何と戦うの?」
「煩悩。コージーを裸にモゴモゴっ。」
途中で口を塞がれてしまった。
呆れ顔で私を見下ろす藤木。
「TPOを考えてって言ったでしょ。」
塞がれた手を外して、言い返す。
「別に、誰も私とコージーの会話なんて聞いてないってば。」
「そうかもしれないけどっ。そういうのは、密室で二人だけのときにしてよ。」
「ふはっ、密室って。」
藤木の密室発言にウケた。
チラリと広場の向こう側を見たら、お猿さんの催しが終わったらしく、拍手とともにおひねりをもらってるではないか。
あれでいったいどれくらい稼げるもんだろう。
けっこうな人が見ていたけれども。
う~む。
地味にOLしてる方が儲かるのかな。
私の視線を辿ったらしい藤木が口を開いた。
「もうっ、やっぱり僕は猿に負けてるんだ。」
「いや、お猿さん以上だよね。性欲。」
睨まれて、肩を竦めたべ。
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