紅葉狩り

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たくさんの人がいるこの香嵐渓で、ブラしてる男の人はどれくらいいるのだろう。 もしかしたら、藤木だけかな。 ふふふっ。 叫びたいぐらい、ウズウズしてくるけど、ここで叫んだらきっと怒られるから我慢、我慢。 ホットドック待ちの順番が来て、藤木が一つだけ買ってくれた。 二つ買えばいいものをと思ったけれども、買ったホットドックにからしとケチャップをたんまり、溢れんばかりにかけまくってる様子にウケたからいいとしよう。 お好み焼きのトッピングのときといい、ホットドックへのトッピングといい、尋常じゃないでしょ。 多めが好きなのかな。 顔はあっさりとした感じで、普通なのに、こってりな味付けを好むらしい。 爽やかに渡されたトッピングモリモリのホットドック。 「ぶっ、かけ過ぎでしょ。」 堪らずに言ってしまったら、藤木も笑ってる。 「大は小を兼ねるかなって思ったんだよね。ふふふっ。」 涼しく澄んだ香嵐渓の空気に溶け込みそうな笑顔。 広場の隅っこに移動して早速、手作りホットドックを実食。 「まいう~。」 手作りと書いてあっただけあったべ。 挟まれてるソーセージの肉質が、安物とは違って、まいう~指数が高い。 それに、パンも、そこらで売ってる粗悪品とは違うべ。 さらに、すべてを覆い尽くすような勢いでかけられてるケチャップとからしのせいで、すべてが台無しになってるのに。 それをやらかしたのが藤木だと思うと、それさえも極上のトッピングだべ。 食べてみなと思って差し出したホットドックを藤木が受け取り、顔に似合わない大きな口を開けて食べた。 「うん、まいう~。」 モグモグと食べ終わって、飲み込んだ後に 「ちょっとケチャップとからしが多かったね。」 と言った。 「ちょっとじゃないって。って言うか、見れば分かるじゃんっ。」 突っ込みつつも、二人で交互に 「まいう~。」 を連発してホットドックを食べ終えた。 ホットドックを食べただけなのに、楽しくて堪らない。
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