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おそるおそる、薄焼きタマゴに包まれたおにぎりをひと口食べた。
おっ。
「まいう~。」
想像よりも普通に美味しかったべ。
「うん、まいう~。」
二人で顔を見合わせて笑ってしまった。
ふんわりと笑ういつもの藤木の顔はタマゴを食べていつもよりも2割増で幸せそうに見える。
そして、河原で紅葉を眺めながらのお弁当でますます美味しさがアップだ。
「次は、茹でタマゴだねっ。」
嬉しそうに早く早くと言わんばかりにこっちを見てくる。
いいけど、茹でタマゴとおにぎりって合うのかなぁ・・・。
若干の疑問だべ。
それに、朝も食べたのに。
・・・朝、作り過ぎたのか。
なるほど。
藤木の視線を感じつつ、茹でタマゴのおにぎりをガブリ。
おにぎりの断面が美味しそうに見えるべ。
そして、味の方も。
「まいう~。」
「ふふふっ。麺つゆに漬けこんで煮タマゴ風にしたからね。」
藤木のワンポイントアドバイスだべ。
煮タマゴ風。
なるほど。
そして藤木も
「うん、まいう~。」
嬉しそうな顔をしてるべ。
藤木がコップに注いでくれたお茶を啜った。
温かくて、癒される。
寒いってほど寒くないけど、温かいお茶が体の中に沁みてく感じがするから、自分で思ってるよりも体は冷えてるのかもしれないな。
「エリーと一緒にいたら、美味しいから食べすぎるね。」
私のせいか?
違うだろっ。
食べ過ぎるのは自分のせいだろ。
そして、藤木といると食べ過ぎるのは私だべ。
いつもいつもニコニコしながら食べ物をすすめてくるのは藤木だべ。
「無反応なの?淋しいなぁ。」
小首を傾けて、可愛いんだってば、それ。
あぁ、ムラムラくるべ。
ここで藤木を押し倒して襲ったら、衆人環視の中で・・・いや、そうでなくてもアオカ・・・まずいまずい、まだ真昼間だべ。
少し、落ち着こう。
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