紅葉狩り

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最初に見た橋の方よりも確実に人が減ってる川沿いの道を歩いていたら、見えてきた吊り橋。 道に簡易おトイレが設置されてるのがなんとも残念。 いや、必要な施設だってことは重々承知してるべ。 だけど・・・なんだかなぁ。 「揺れるかなぁ。」 なぜ、嬉しそうに揺れるかどうかを気にするべ。 揺れた方がいいのか? 若干の疑問を感じつつ、吊り橋の上から景色を見たら、ここから見てるのとはまた違った印象を持つのだろうと期待だ。 吊り橋を二人で渡る。 揺れてるべ。 「ふふっ、揺れてるね。なんかドキドキするでしょ?」 嬉しそうな藤木の顔にドキドキしてます。 「うん、って、わわわわっ。」 ヨタヨタとして藤木によりかかってしまったのは、後ろから来た子供、推定小学生の兄弟が吊り橋の上を騒ぎながら走りだしたからだ。 「ふふふっ。」 嬉しそうに笑う藤木になんかドキドキだべ。 吊り橋を走る兄弟が私と藤木の横を走り抜けて行った。 本当だったら追いかけて掴まえて説教の一つもしてやりたいけど・・・藤木に自分からよりかからせてくれた原因だからな。 勘弁してやろう。 「エリー、吊り橋を渡ったらお店があるでしょ?あそこで休憩してから戻ろうか。」 藤木の提案に頷いた。 橋の上から見る景色は、道からの眺めとは違った印象だけど、その理由は橋が揺れるから臨場感に溢れてるって感じだべ。 香嵐渓にやってきてからずっと眺めてる紅葉に、目が慣れてしまって美しい色の葉っぱが永遠にあるような気がして有難みが減っていく。 でも、この美しい色合いの葉が見られるのは今だけなんだべ。
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