紅葉狩り

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水筒を傾けてお茶が注がれる。 湯気はもう出ないらしい。 さっき飲んだときよりも、冷めてしまったようだ。 「いただきます。」 五平餅よりも先にお茶に手を伸ばした。 うん、まだ温かい。 「まいう~。」 「ぶっ、五平餅を食べてから言ってよ。それ、普通のお茶だよ。」 「コージーがわざわざ用意して持ってきてくれたところが美味しさを際立たせてる。」 「ふふっ。そっか。」 目を細めて微笑む藤木に、私も笑った。 こんな穏やかな時間を一緒に過ごせる休日は素晴らしいべ。 お茶のコップを置いて、次は本丸の五平餅だべ。 平べったい木の棒にのっぺりと草履のように広げられた潰して捏ねたであろうご飯。 そのご飯を焼いてからの甘い甘い味噌タレ。 見た目からして危険な美味しさだべ。 木の棒を持って、そのままガブッと一口齧る。 くぅ~っ!! 香ばしい胡麻と胡桃の歯ごたえもさることながら、甘くて甘くてちょっぴり濃い味噌の味と風味、たまらんべっ。 「まいう~。」 「ふふっ。全部食べたら口元のタレ、僕が拭ってあげるからね。」 ウホッ。 さっきのお隣のテーブルのアベックみたいに藤木が私の口元を拭ってくれるってか。 フォーーーーーーーーー!!! 頭の中がフィーバーだ。 そんな素敵な付き合いはしたことがねーって話だべ。 私が男の口元に吸引したことはあっても、相手が私に何かをしてくれるような付き合いってあんまりないべっ。 いろいろしてくれそうだから好きになったとか、そういうことではないけど・・・藤木と付き合えて幸せだべ。 愛するよりも愛されろ。 だけど、私も藤木を愛してる。 藤木のくれる無償の愛に応えられるぐらいに、有償の愛を与えたい。 見返りはブラを脱がすことだべっ。 ブラ男に敬礼!!! 相思相愛、万歳!!!
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