紅葉狩り

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「そんなに放心するほど美味しい?早く食べないと冷めちゃうよ?」 ニコニコ笑いながら藤木に話しかけられハッとした。 私の脳内を見られたら大変だ。 ブラしてる程度の変態だと自称していた藤木よりも私の方が変態指数が高いかもしれないことがバレテしまう。 「食べるよ、食べる。フードコートの五平餅とは違って、本当にまいう~だね。このタレの胡麻と胡桃かな、香ばしくて凄く美味しいし。」 「ふふっ。じゃぁ、もっと買ってきてあげようか?」 「いや、それはいいや。また食べたいなぁって感じで終らせておくのがいい。」 「そっか、じゃぁ、また食べにこようね?」 小首を傾げるその動作は、可愛すぎだべっ。 もちろん、コクコクと頷いた。 すると、いつもの笑顔が現れる。 あぁ、幸せだべ。 この幸せな気持ちを大事にしつつ、藤木の笑顔が崩れることのないように、私が守ってやりたいべ。 残りの五平餅を無我夢中で食べた。 棒にへばりつく五平餅を前歯を使って下品にならない程度にキレイに食べるのがポイントだべ。 だって、食べ物をキレイに食べられない人はなんか嫌だし。 かといって、卑しく見えるような食べ方もしたくないし。 好きな人と一緒にいたら余計だべ。 五平餅を自分なりにキレイに食べ終えて棒を置いたら、藤木がこっちを見て笑った。 「ふふっ。約束通りに僕が拭いてあげる。」 そう笑って、藤木の右手の親指がそのまま藤木の口の中に一度、入っていき、その後、その藤木の唾液で濡れたであろう親指で私の口の周りのタレを拭われた・・・。 ドキドキするべ。 一度、藤木の口の中に入った親指だべ。 艶っぽい所作だったべ。 それに、私の口の周りを拭った藤木がクスッと笑った後、その指をペロリと舐めたべ。 フォーーーーーーーーーーーーーーー!!! さっきのお隣のアベックの比じゃねーってぐらい、ラブラブ光線を発射してるべっ。
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