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バタンと冷蔵庫のドアが閉まった音が耳に響いた。
私が藤木のお腹にまわして抱きついていた両手に藤木の手が重なる。
温かくて、私の手よりも大きな手。
ブラ男だし、仕草が可愛かったりするけれども、一つ一つのパーツはやっぱり男を感じさせてくれる。
女の人の柔らかな手とは違った骨ばった手。
私の手の甲をスッと指で撫でたべ。
「くすぐったいよ。」
「うん、くすぐってるもん。ふふっ。もっとさ、吐息とか出していいんだよ?」
・・・そう言われたら、意地でもそんな声を出したくなくなるもんだべ。
私はけっこう負けず嫌いだべ。
私の手の甲を撫でる藤木の手を掴まえて、藤木の体をグルンと回転させてみた。
藤木の後ろには冷蔵庫。
体格差からして、そこに藤木をドンするのは無理だけど、こっちを向いて私を見下ろし、ふわっと笑った藤木の体に軽くタックル。
「グフッ。」
妙な声をあげたけれども、私の背中に両手をまわして抱き締めてくれた。
藤木の胸元に私の顔。
ニヤリ。
この顔の向こう側に、ブラが・・・。
顔をモゾモゾさせてお宝さがし。
「こらこらこらこら、変なことしない。」
私の妙な動きに気が付いたらしい藤木にストップをかけられたけれども、ここで引き下がるような私ではない。
そんなヌルイ制止、無視だべ。
スリスリして、モゾモゾしてなんとなくブラの感触を確かめる。
至福の時を邪魔しないでくれ。
幸せだ。
「言っても分からない子にはお仕置きだよね。」
クスクスっと笑い声までセットされて穏やかだとは言い難い言葉を吐かれた。
スッと藤木が動いたと思ったら、大人が子供を抱きかかえるときにワキの下に両手を入れて持ち上げるようにする、あの動作で私のワキの下に藤木の手が入れられ、そのまま持ち上げられた!?
「ちょっ、降ろして降ろして。」
そんなマッチョに見えないくせに、意外にも力持ちな様子に焦る。
「やだよ。暴れるから2階に運ぶのは無理っぽいね。ま、コタツでもいっか。」
楽しそうに話しながら居間へと連行された。
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