遠出の後は

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「ごめんね。」 新鮮な空気を肺に送り込んで、少し落ち着いたところで謝られたべ。 そして、そのまま逃げないでねと言われるように藤木の両手に抱き締められてる。 体の向きも強引に藤木の方に向けられて、藤木の胸元に私の顔が。 何で謝られたんだろうか。 「あのさ、今朝、絵里とシタでしょ?」 シタね。 うん、夜明け前に襲われたべ。 首を縦に振ったべ。 「でね・・・その後、シャワーしてないんだよね、僕。」 ・・・私と致して、シャワーをしていない。 そして、そのまま一日を過ごした後に、先ほどの状況。 つまり、臭ってぐえっとなった元凶は自分じゃないかよっ!!! 自分の股の臭いが原因・・・。 ・・・あぁ、そうか。 ワッキーは体臭だけでなく、液体Aも臭うらしいし。 ふーん。 そっか。 うん、納得だべ。 そっか・・・。 自分の臭いに自分でダウンしたってか。 うん、夏場のワキの臭いを自分で嗅いだときみたいなショックを受けただけだべ。 うん、うん。 むしろ、こんなに臭ってごめんなさいだべ。 「まさか、絵里がさ、さっきみたいなことするなんて思ってなくて。」 ギュッと抱き締められる声もどこか上の空で聞いてるのは、自分の臭いに軽くショックを受けたからだ。 「・・・ちょっと変態っぽいけど、僕はトイレに行くたびに、絵里の匂いがツーンと漂ってきて、興奮してたんだよ。」 ふーん、トイレに行くたびに漂う臭さだべ。 ・・・はっ? 違う違う。 今、何て言った? 「やっぱり、僕みたいなちょっと変態は嫌かなぁ・・・。」 なぜ、藤木がしょんぼりする? 胸元から顔を上げたべ。 そして、藤木の顔を見たべ。 目が合った。 「何て言った?臭いから嫌って言った?」 「もう、どこをどう聞いたらそんな風になるの?だからトイレに行くたびに絵里の匂いが漂ってきて興奮したって言ったの。朝の行為も昨日の夜の行為も思い出したからね。」 赤面だ。 臭いが漂って、その行為を思い出して興奮するって・・・。 「フォーーーーーーーーーーーー!!!」 「こら、落ち着きなさいってば。」 はい、怒られました。
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