遠出の後は

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「絵里はさ、自分の匂いを気にしてるし、気にするような匂いなのかもしれないけど・・・。」 「うん、臭いからね。」 言葉が出て来なくなった藤木に変わって、自分の臭いを一刀両断。 自分でも臭いと思ってるべ。 ワキの臭いは鼻から近いから特に。 まさか、下半身も放置するとこんな臭いだったとはね・・・。 知らぬが仏だったべ。 と言うか、過去の男はこの臭いを知っていた可能性も。 うん、ワキガは嫌だべ。 病気を疑いたくなるような臭いだったべ。 でも、原因はきっとワッキーの体液Aは臭いからだべ。 納得しつつも、悲しいというか虚しいというか。 「ごめんね。」 謝られた理由は、私と藤木の関係は終わったってことだべか? 私の目を見て、謝って来た藤木。 目に涙が溢れてきた。 短い間にたくさんの楽しいことがあったべ。 一緒に飲んで食べて笑って走って叫んで、体でもたくさん会話したべ。 溢れそうになる涙を拭ったのは藤木の手だ。 はぁっと溜息を吐いて。 「おバカさんだね。何で泣くの。絵里の匂いに興奮する変態でごめんねって言ったんだけど。勘違いしてるよね、きっと。」 勘違い。 してました。 だって、聞いたか? 私の臭いに興奮する変態。 チャレンジャーだべ。 そして、なんか藤木が偉人に見えてきたべ。 可愛いブラ男は、その程度の変態だと思っていたら、私の臭いに興奮する正真正銘の変態だべ。 「ジップロックに入れたワキ汗タオルの匂いを嗅いだ頃から、絵里のこと、気になってたよ。」 まさかの、告白!!! しかも、ワキ汗タオルの臭い!!! 「ははははっ。」 「だから、たっぷり嗅がせてね?」 って、こらこらこらこら。 「ギャーっ。恥ずかしいから嗅がないでケロ。」 私のワキのあたりに顔を寄せようとするから、精一杯、藤木から体を遠ざけてみた。 「ん?無理。嗅がずにはいられないケロ。ふふっ。これでこっそり嗅がなくてもいいよね。もう堂々と絵里の匂いを楽しめるね。もちろん、下半身の匂いも。」 クスッと笑った顔に恐怖した。 臭いでしょ。 臭いでしょ。 絶対に臭いでしょ。 恥ずかしいってば。 また、ズイっと近寄ってくる。 変なドキドキと変な汗をかいてますます臭くなりそうだべ。
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