コージー特製お茶漬け

3/7
前へ
/539ページ
次へ
「ぶはっ。タマゴだけじゃなくて鮭も好きなんだねっ。」 着替えを済ませてコタツのいつもの場所に座ったら目に入ってきたのは特製のお茶漬け。 真ん中にタマゴがあったのもウケたけど・・・。 「アレ?何で僕が鮭も好きだって分かっちゃったの?」 こっちを向いて小首を傾げてる。 その仕草、可愛いんだってば。 じゃなくて、分かるに決まってるって話だべ。 「見れば分かるじゃん。お刺身のサーモンと鮭のフレーク、それから普通に焼いた鮭。塩分摂りすぎになるって話だ。」 どんぶりの中が鮭色に染まっていて、その中央に鎮座するタマゴ。 きっと、その上からだし汁を注いだに違いない。 「そっか、塩分摂りすぎか。エリーがいるからついつい豪華にしちゃっただけだよ。普段はこんなに色々盛らないから安心してよ。」 笑った口から覗く白い歯。 今までだって、何回となく、藤木の歯を見てきたはずなのに。 私の臭いに興奮するとまで言われて、ますます藤木が好きになってしまった自覚アリだべ。 それでもって、豪華なお茶漬けでもてなされてしまって、ムギュムギュしないわけがないって話だべ。 「ほら、食べないと冷めちゃうよ。」 「うん、頂きます。」 心と体に浸透する温かさだ。 美味しくて、ホッとして涙が出そうだべ。 下半身が臭っても、嫌いにならないらしい藤木。 むしろ、興奮するらしい藤木。 ブラしてる藤木。 いつも、ふんわりと笑ってる藤木。 食べてる最中に足を軽く蹴られて笑ってしまった。 藤木について考えていたのにな。 「何?」 「無言で食べてるのは、美味しいってこと?それとも、イマイチ?」 言われるまで気が付かなかったべ。 そうだ、藤木と食べ物を食べるときのお約束を忘れていたべ。 「はははっ。まいう~。」 「ふっ、良かった。」 ふんわりと笑って、目を細めた顔が現れた。 この顔、ずっとそばで見ていたいべ。
/539ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3464人が本棚に入れています
本棚に追加