コージー特製お茶漬け

4/7
前へ
/539ページ
次へ
無言で、お茶漬けを食べ続けた。 美味しいのもそうだけど、ホッとしたんだべ。 ご神木から漂うツーンとした臭い。 アレは・・・いただけないべ。 それなのに、アレが別れの原因にならなかったことにホッとしたべ。 深イイ仲になってからの別れは正直しんどいし、自分の年だって考える。 藤木が最後の相手であって欲しいべ。 私の臭いが気にならない。 ポイントが高いべ。 ブラしてるのと同じ、いや、それ以上にポイントが高いべ。 「エリー、食べ終わってるのに、いつまでお汁を掬って飲んでるの?」 藤木の声に我にかえった。 しまった、ついつい頭の中で考え事をしていて、無意識に手がお茶漬けの汁だけを掬ってそれを飲むという行為を繰り返していたべ。 「いや、あまりにまいう~だったから。美味しいね。」 ふわっと笑った顔。 どうやら、騙せたみたいだ。 「片付けたら送って行くよ。遅くなったらダメでしょ。」 壁にかけられたシンプルな丸い時計。 黒地に金色の文字で、丸い時計の縁取りも金色だ。 時刻は午後7時。 片付けを終えて私の家まで送ってもらって、藤木が帰宅したら、9時くらいかな。 明日から仕事だと思えば、妥当な時間。 楽しい時間はあっという間に終わってしまうべ。
/539ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3464人が本棚に入れています
本棚に追加