ホウレンソウを怠るな

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「へー。意外。トミーって情熱大陸だね。」 意味が分からないよ、山田さん。 情熱大陸って・・・。 「山田さん、おかしなこと言ってなくていいですから、相談に乗るって言いだしたの山田さんですよ。」 小鳥遊さんが卵焼きを食べながら山田さんを諭してる。 卵焼きか。 タマゴだな。 藤木の話をしてるから、藤木のことを思い出すのは当たり前だけど、ついついタマゴを見て笑ってしまいそうになるべ。 山田さんのお弁当にはゆで卵だし。 「プロポーズかぁ。俺、酔っ払った勢いで結婚してって言っちゃって、いまだにそのことを言われるからさ。トミーは、情熱大陸だし、こう熱量高い感じでガーッって感じでバッって感じで最後にギュッみたいなのがいいんじゃない?」 ますます意味が分からない。 情熱大陸。 熱量高い感じ。 ガーッって感じでバッって感じで最後にギュッみたいなの。 誰かもっと分かりやすい日本語にしてくれないかな。 隣の小鳥遊さんに目線をうつすも小鳥遊さんも苦笑いだべ。 「ちなみに、小鳥遊さんはどこでどうやってプロポーズしたんですか?」 こうなったら、参考に聞けることは聞きだしておくべ。 「えぇっ?僕?内緒だよ。そんなの。」 幸せそうに微笑んだ小鳥遊さん、ぜひとも、その幸せの秘訣を教えて欲しいべっ。 「そこをなんとか、参考にさせて下さいよ。」 私の懇願に笑った小鳥遊さん。 これは、イケるのではないか!? カモーン、小鳥遊さん。 「参ったなぁ。はははっ。あのね、僕の奥さんってちょっとしんどい職場に勤めていたんだよね。それで、ボロボロになってて疲れ果ててさ。見ていられなくなっちゃったんだよね。」 お箸を置いて真面目な顔になって、昔を懐かしむような感じだべ。 「病気になる前に仕事をやめて一緒に暮らそうよって言って大泣きさせたのがプロポーズだったのかなぁ。なんか恥ずかしいね。」 ウホホホホホ。 なんだ、このハートウォーミングな空気。 軽い話ではなかったハズなのに、小鳥遊さんの手にかかるとすべてに幸せフィルターがかかってハートフルだべ。 「小鳥遊、お前、やるなぁ。俺が女だったらお前と結婚したかった。」 「いや、僕はお断りしますよ。」 「うわっ、冗談通じないし。本当に愛妻家だよな。」 どっちもどっちだべ。 愛妻家の小鳥遊さんもマイホームパパの山田さんも幸せそうだべ。
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