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「無駄に過ごしたとは思わないけどさ、その5年間。もっと早く結婚しておけば良かったなって思うよ。どっちみち、他の人なんて考えられないし、結婚するのは同じ相手だろ。それに、子供のことも考えるとさ。欲しいと思ってすぐにできるわけじゃないんだよな、子供って。」
なるほど。
子供かぁ。
僕とエリーの子供なんて想像できないな。
いや、エリーの小さいバージョンだったら想像できる。
手を繋いでないと、どこかに走って行く感じ。
で、楽しいことがあったら叫ぶ感じ。
「つーわけで、29歳の藤木君にはとっとと結婚することをおススメするよ、俺。それに、結婚すると仕事に対してもっと欲が出るから俺達のチームはトップ間違いなしだしな。新藤君も彼女がいた方が絶対に仕事に対してモチベーションがあがるから、たくさん仕事してたくさん遊びまくりなっ。」
澤田さん、恐るべし。
最後は自分のチームに絡めてる。
私生活の充実はそんなに仕事に直結するもんだっけ。
覚えがない。
彼女がいた頃の自分を覚えていない。
過去が霞むってどういうことだろう。
普通、思い出は美化されるハズなのに。
今の方が楽し過ぎて過去のことが霞むってどういうことだろう。
「お待たせしました~。」
小太りのおばちゃんが順番に僕たちの頼んだ定食を運んできてくれる。
ここに来る度に思うけど、どうしてこうもこうも全部が美味しそうなんだろう。
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