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「魔法使いになるのは諦めるから、僕を一生解けない愛の魔法で縛って下さい。結婚して下さい。って言いました~。」
まったり、おっとりな山根君の口から紡がれたユーモア溢れるプロポーズの言葉。
29歳まで童貞じゃなかったら言えない究極の言葉だ。
それに・・・会社のメンバーに堂々とついこの前まで童貞だったことをカミングアウト。
山根君が眩しく見える。
僕なんて、エリーにしかカミングアウトできてないのに。
それに、会社のメンバーにカミングアウトしようとも思わないし。
「で、彼女の反応は?」
「爆笑してくれました。それに、頷いてくれました。で、僕とワキガのサラブレッドを作ろうって言いました。」
「藤木は、山根の真似はできないだろうけど・・・頑張れよ。」
ニヤニヤ笑ってる澤田さんとニコニコ笑う山根君。
下を向いて肩を震わす新藤君は笑いのツボにはまってしまったんだね。
「澤田さんは、いきつけの飲食店でプロポーズしたんでしたっけ?」
「おう、そうそうって、あぁ、そっか。新藤君は入社前だったからいなかったけど、俺の結婚式と二次会に山根も藤木も呼んだから知ってるんだったな。」
下を向いて肩を震わしていた新藤君が顔をあげて澤田さんを見たから澤田さんがどうして僕が澤田さんのプロポーズを知ってるのかを説明しだした。
「で、参考になった?山根のプロポーズと俺のプロポーズ。」
お味噌汁を啜って、ご飯を食べて。
参考かぁ。
「どうですかね。この前、そういう話になったときに、昔のアニメ映画で朝の街を自転車でドライブして結婚しようっていうのとか。あとは、昔のドラマでトラックの前に飛び出して『僕は死にましぇーん。』みたいなのが印象に残ってるとは言ってましたけど。」
エリーの印象に残ってるのって、どっちも外で叫ぶってことかな。
いったいどこで?
恥ずかしげもなく?
「あはははっ。藤木の彼女、いいね。お前、もうアレしかないな。」
「アレって何ですか?」
「100メーター道路の端っこに彼女を絶たせて叫べよ。」
絶句。
絶対に面白がってるだけじゃん、澤田さん。
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