カフェ ユーフラテス 再び

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藤木とまったくコンタクトのなかった一週間を終えて、季節は本格的な冬を迎えた。 カレンダーは12月で師走だべ。 なんだか、急いでないのにそわそわして走りたくなってくる師走の名前。 赤電車の中を走ったところで早く藤木に会えるわけではないから、大人しく座っているべ。 窓の外には乙川。 岡崎城。 そして岡崎公園だべ。 そして、目的の東岡崎駅で電車を降りたらはやる気持ちを抑えて階段を降りて改札を通り北口のロータリーへ。 いたいたいたいた。 青いCX5と言う名前の藤木の愛車。 最近、よくみかけるようになった気がするCX5。 見かける度に、藤木を思い出す。 横断歩道を渡ってすぐのところに停められていたから、そのまま藤木の車に。 横断歩道を渡っている最中から運転席に座る藤木の顔が見えた。 笑いながら、私に手を振ってる姿が可愛くて胸キュン。 いや、ムギュムギュしたべ。 助手席側のドアを開けたら、いつもの藤木の笑顔。 やばいやばい。 この前、イッシーにプロポーズは女からでもアリだと聞いたけれども、素敵で忘れることができずに、インパクトのあるプロポーズはいまだに思いついていない。 決行するのはいつがいいかな。 「こんにちは。」 「んちゃっ」 いつも通りの藤木の柔らかな笑顔に、いつも通りにふざけた挨拶を返した。 「ふはっ、今日は懐かしのアニメでせめてきたか。」 目を細めた藤木を視界の端に捉えつつ、ウケたことにニヤけそうになる顔をなんとかだらしなくならない程度のニヤけに抑えて座席に座る。 もちろん、シートベルトも締めたべ。
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