まん類ホームラン

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「ええと、何々・・・。」 立ち上がったノートパソコンに向かってマウスをカチカチしたり文字を打ちこむ音が聞こえる。 私は藤木のまだ脱いでいないダウンコート越しにブラの存在を確かめようと顔をめり込ませたけれども、どこに何があるのかさっぱり分からない。 ブラは諦めて藤木のお胸に手を伸ばしたら、私の両手を掴まえられた。 「おバカさんなことしてないの。まん類が食べたいって言ったエリーのために作り方を調べてるんだから。」 両手を拘束されたら、最早、何もできないべ。 仕方がないから、その場で藤木の背中にへばりついて、スーハースーハと深呼吸だ。 藤木の匂いと言うか、藤木の家の匂いだろう。 藤木の服の匂い。 どれでもいいけど、つまり嗅ぎ慣れてきた藤木のオリジナルな臭いだべ。 これを嗅いだが最後、ムラムラするって話だべ。 相手をしてくれない藤木がツマラナイから、はぁはぁと息を吐いて、変質者の真似だべ。 「はぁっ、はぁっ、お兄さん、今日の、はぁっ、はぁっ、下着の色、はぁっ、はぁっ、何色?はぁっ、はぁっ。」 「ブッ、おバカさんなことしてなくていいの。ほら、エリーの食べたいのって何まん?」 掴まれていた手を離され場所を半分空けるように左にずれた藤木。 空いた右半分のスペースに前進して、画面を覗く。 なるほど、超有名なお料理サイトさんですな。 さすが一人暮らし男子だべ。 「ウホホホホホホホッ。これ、これが食べてみたい。チョコまんっ!!」 「ぶはっ、それ夕飯なの?さっきパフェ食べたばっかりなのに。」 パフェを問答無用で注文したおバカさんに言われたくないべ。 「あと、肉まんが食べたいです。」 「ふーん、了解。ドライイーストがないから買いに行かないと。コンビニに売ってるよね?」 「・・・いや、だったらコンビニで肉まんを買えばいいのでは?」 シーン。 「でも、そしたらエリーの食べたいチョコまんは食べられなくなるよ。作ろうよ。それに、夕飯を作ったりしてないと僕がフライングでエリーを食べちゃうかもしれないし。」 恐ろしい一言を吐いたべっ。 速攻で立ち上がったべ。 「買い物に行きましょう!!!」 決して、藤木に食べられるのが嫌なわけではないべ。 だけど、そればっかりも微妙だべ。
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