まん類ホームラン

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「♪あんまん、肉まん、カレーまん、ジャムバタチーズ、へんたーい♪」 「ぶはっ、エリー、いろいろと間違ってるよね、ソレ。」 手を繋いで、コンビニまでの道を歩く。 ついつい鼻歌を歌ってしまったべ。 そして、いろいろ間違っていたべ。 「コージーを楽しくさせるという一点だけは間違ってない。」 私の言葉を聞いて頬を緩めたのが見えた。 やったね♪ 住宅街の中の道をまっすぐ歩くだけでコンビニに到着できる藤木の家は、実は割といい場所にあると思う。 見た目が築ウン十年の廃墟に近いだけで。 そして、よく見るとなかなか手入れがされている古い建物なだけで、問題なさそうなんだよな。 良い物件に住んでると思う。 あと100メートルぐらいでコンビニだべ。 「エリー、競争しようか。」 返事をする前に走ったのは私だ。 だって、同時にスタートをしたら負けるべ。 「あっ、こら、ずるいぞ。」 ズルくたっていいべ。 ずるっこしていい相手にしかしないもんねー。 気分は人類史上最速のスプリンター、ウサイン・ボルトだべ。 手はグーではなくゆびをくっつけたパーで高速に腕を振る。 私の頭の中もパーだけど、手もパーだ。 手と頭をおそろにするのはお洒落のテクニックだべ。 コンビニの駐車場が射程圏内に入ったべ。 藤木の息遣いが近くに聞こえる。 ヤバイヤバイヤバイヤバイ。 並ばれたっ!? 「捕まえた。」 ガシっと掴まれた左手。 速度を落とす私と藤木。 短距離走からランニングへ。 はぁっ、はぁっ、はぁっ。 お互いに息を整えながら、コンビニの駐車場に入った。 コンビニの入口近くまできたところで、繋いだ手を挙げて、繋いでない方の手も挙げてみた。 「感動のゴーーーーーーーール!!!」 「ぶはっ、おバカさん。あっ、僕もその恥ずかしいのに参加してるじゃん。やめてよ。」 笑いながら私が挙げた手を慌てて下げてる藤木。 もう、手遅れだべ。 同類だ。 ヒヒヒ。
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