まん類ホームラン

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目的のスーパーはカフェ ユーフラテスよりも手前の道を右折してそのまままっすぐ行った場所に突然現れた。 住宅街の真ん中にそこそこの大きさのスーパー。 駐車場も完備だべ。 「いつも、ここで買い物してるの?」 「ん?どうかな。ここにも来るけどもっと大きいところで他の生活用品も買いたかったりするしね。」 生活してる人の言葉だべ。 ここにも来ると言っていただけあって、スイスイと歩いて行く。 「ドライイーストってベーキングパウダーと同じところかな。きっとお菓子とかの材料が売ってるところだよね。」 私に話かけているのか、それとも独り言なのか。 そんな声のトーンでブツブツ言いながら入口でカゴを取ってる。 入ってすぐは青果コーナーだったようだべ。 「まん類だけだと栄養が偏るかな。お野菜さんも買って行こう。」 ウホッ。 お野菜さん。 可愛いべ。 今の季節は安くないだろうに、レタスやきゅうりをボンボンとカゴに入れる藤木。 稼ぐ男はお野菜さんのお値段なんて見てないってことか。 次に現れた鮮魚コーナー。 スルーするのかと思いきや。 ウホホホホホッ。 鮮魚コーナー近くの干物類売り場で塩鮭を見てるべ。 買うのか、買うのか、買うのか!? 「やっぱりこっちにしておうかな。」 藤木が選んだのは塩鮭ではなく、鮭の西京漬け。 グッ。 笑いそうになったべ。 迷って結局、鮭を買ってるって話だし。 「あっ、この前も鮭だったしエリー、違うお魚の方がいい?」 「いえいえ、コージーの食べたい物を食べたいケロ。」 「じゃぁ、明日の朝も鮭の前にエリーからだね。ふふふっ。」 おいこら、ここはスーパーだし。 そういうこと、言うなや。 「今夜の下着と明日の朝の下着、選んであげるから装備してね。」 「ちょっ、エリー、何てことを言うのさ。」 「いーじゃん、誰もブラなんてもごもごもごっ。」 藤木の片手が私の口を覆った。 今更、恥ずかしげることでもないのに。 まぁ、そんな奥ゆかしい一面も大好きだからいいけどさ。
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