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私が捏ね繰りまわしてる間に藤木の作業は終了してしまったらしく、手を洗って、また、私の右肩近くからボウルを覗き込んでるべ。
「それくらいでいいと思うよ。」
ん?
耳たぶのやわらかさが良く分かってなかったから捏ね繰り続けていたけれど、終了していいと上等兵が言うのだから間違いないべ。
私がまん皮のタネから手を離したら、藤木がラップをしてるべ。
「これで温かい場所で休ませるんだって。」
私の疑問に答えてくれた。
ほうほう。
クッキーの生地は冷蔵庫で休ませたりするけど、まん皮は温かい場所希望だべか。
流しでキレイに手を洗っている間に、藤木は一人で居間に退散ってか。
裏切り者めっ。
手を洗って、居間に向かったべ。
目指すは定位置、コタツへGO!
コタツに足を突っ込んだら、足の先に金属の感触とゴンという鈍い音。
コタツ布団を捲って中を覗く私をいつもの定位置から笑う藤木の声。
「温かい場所って言ったら、コタツの中かなって思ったんだよね。」
捲ったコタツ布団を元に戻してまったりモードに入ろう。
「何分位、まん皮様はお休みになられるの?」
「膨らんだらだって。」
「ほうほう、膨らんだらか。コージーのご神木は膨らんでおられますかね?」
「ぶはっ、おバカさん。試してみる?」
ふわっと笑いつつも攻撃的な言葉と妖艶な顔だべっ。
「遠慮しておく。まん類ホームランの前にホームランを打ってどうするのさ。」
「ふふふっ、おバカさんだねぇ。」
話してるそばからだけど、温かい場所で膨らむらしいまん皮が気になってコタツ布団を捲ってボウルの中を確認してみた。
まだだべ。
「そんなに早く膨らむはずないじゃん。」
私がコタツ布団を元に戻したところで、半分呆れ顔だけど笑ってる藤木に言われた。
「だよねー、コージーのマグナムとは違うよねー。」
「ぶはっ。」
その後も、話しながらも何度も何度もまん皮の膨らみ具合が気になって布団を捲る私とそれを笑う藤木のやり取りは続いた。
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