まん類ホームラン

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「プッ。顔が赤くなって可愛いね。」 藤木が私の臭いがついたと思われる手の臭いを嗅いだ瞬間に、体の中がカッと熱くなって、恥ずかしくなって目を逸らしたのに、そこへ降ってきた今の言葉。 むぎゅむぎゅして、胸の奥が疼いた。 それに、ますます恥ずかしい。 可愛いって、言われ慣れてないべ。 言われ慣れてない言葉、しかも褒め言葉。 あまりの恥ずかしさに、ザザザザザザっとバックオーライしてしまったべ。 ゴツンと冷蔵庫に当たるまで、高速で後退した。 「わわわっ。」 ゴツンと足が冷蔵庫にぶつかったと思ったら次は胴体と頭。 ゴツン、バン、ガツンと3段構えでぶつかったべ。 「ふはっ。何で逃げるのさ。」 私の目線は下を向いていたのに、その視界に藤木のもこもこ靴下とデニムが入った。 ごくりと生唾を飲み込んだ。 そうだべ、逃げるようなことではないべ。 付き合ってる相手に可愛いと言われただけだべ。 いや、でも、その前に臭いを嗅いだじゃん。 あれは、セクハラでモラハラだ。 恥ずかしさの極みだ。 職場であんなことされたら、上司に相談だべ。 「まだ、生地を休めておかないと。だから僕とエリーは続き、しようよ。今度は変なことしないでねっ。」 ふっと笑った声。 私の顔を屈んで下から覗いてそのまま唇を重ねた藤木によって、私の顔は上向きに移動させられた。 フォーーーーーーーーーーーー!!! 可愛いだけでは済まされない藤木の強引な一面に イエス!フォーリンラブ!
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