まん類ホームラン

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チョコまん様を無事に、蒸しだしたお鍋に安心し、藤木が取りだした肉まんの盛られたお皿をテーブルに運んだ。 「熱いと思うよ、気を付けて。」 言われなくても分かっているけど、気にかけてくれてると思うと嬉しい乙女心を発動。 叫びたい衝動をグッと堪えて、自分のお皿に大皿から肉まんを取り分けた。 「うわっちっち。」 肉まんを右手から左手、左手から右手にポイポイとやりながら、お皿に着地。 「だから熱いって言ったのに。」 呆れ顔の藤木だけど。 「熱いモノは熱いうちに食べるのが美味しいじゃん。冷めても美味しいだろうけど、出来たてほやほやの熱さは格別だってば。」 私の言葉に。 「それもそうだね。」 と納得して、私と同じように 「あっちっちっち。」 と右手と左手に肉まんをポイポイしながらお皿に取り分けた。 しばらく待ってから、肉まんを口元に運んで用心しながら食べてみた。 「わいう~。」 熱さでくぐもった声になってしまったけれども藤木が笑った顔が現れた。 そして、藤木も同じように 「わいう~。」 と熱さでくぐもった声を出した。 ふぅふぅしながら、はふはふしながら食べる出来たてほやほやの肉まんは最高に美味しい。 「肉汁凄いね!!!それにこのまん皮、もちもちしてて凄く美味しい。」 ついつい自分の悪い癖が出てしまったべ。 美味しいと思ったところを集中的に食べてしまう癖だべ。 まん皮の美味しさに目が眩んで肉汁を吸い込んだ肉まん底辺のまん皮を攻めていたら、具がボテっとお皿に落下した。 「ぶはっ。何やってんのさ、あはは。」 爆笑しながらお手拭とお箸を渡してくれた藤木の優しさ。 良いやつだべ。
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