愛しい時間

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しばらくウトウトと微睡んでいたら、階段を登ってくる足音がしたべ。 「エリー、まだ寝てるの?ご飯作ったよ。あっ、着替えてるんじゃん。」 問答無用で布団を剥がされたべ。 「寒いってばっ、寒いってば、寒いってば。」 両手と両足を寝ころんだ姿勢のままで天上にむけて伸ばして、もがいてみた。 「ぶはっ、何やってるの。下の部屋の方があったかいからおいでよ。」 もがく私の両手を藤木が掴んで引っ張り起こされたべ。 起きないわけにはいかないじゃないか。 って言うか、ここまで甘やかされていいのか? ちょっと反省だ。 反省とお礼の気持ちを込めて起き上がってそのまま藤木に抱きつき、キスしてやったべ。 「わわわっ。」 驚く藤木の顔を見て笑った後で、堪らなく愛しい気がしてもう一度唇を奪った。 今度は、ハードな感じで。 最初は驚いていたくせして、藤木もその気らしく素敵な口付けを返してくれる。 気をよくして藤木の服に手を差し入れたところで怒られた。 「こらっ。ほら行くよ。」 こらと言いながら掴まえられた手をそのまま握って階段方面へ連行されたべ。 残念なような、でもこうして連行されるのがこの上もなく楽しい気持ちもあったりだ。
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