愛しい時間

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コタツの上に用意された朝ごはん。 ご飯に味噌汁に鮭の西京焼きに卵焼きにホウレン草のお浸しだべ。 「美味しそう。」 思わず呟いた私の言葉に嬉しそうに笑って 「ほら、食べようよ。」 と声をかけてくれる。 ちょっとした感動を味わってる。 藤木が一人暮らしで、料理ができることも知ってるし、私が泊まりに来るといつも料理をしてくれる姿を見てるけど。 なんか今日のは格別だべ。 ホルモンだな、きっとホルモンのなせるワザだべ。 妊娠すると涙脆くなるとか言うべ。 妊娠してないけど、妊娠に至る行為は大好きだ。 きっと、そのせいに違いないべ。 「いただきます」 手を合わせた後に、お味噌汁から頂いた。 「まいう~。」 「ふふっ。」 微笑む藤木に聞いてみる。 「コージーの作るお味噌汁って、汁の味が濃いんだけどしょっぱいわけじゃなくて、深みがあるって言うか、簡単に言うと、まいう~指数が高いけど、何で?」 「胃袋、掴めた?」 私の知りたい答えはくれないのにドキドキさせる言葉は言ってくるってどういうことだべっ。 「コージーに胃袋を掴まれたから、私はお礼にコージーの玉袋を掴んであげるよ。」 「ゴホッ。おバカさんだね。そんなところ、掴んだらだめでしょ。」 痛いって意味かな? 「ごめん、痛そうだね。じゃぁ、ご神木を掴むよ。」 「だからさ、そうじゃないでしょ。」 「掴んだら祟られる?」 藤木の目を見て聞いてみたら、目を逸らされた。 「そりゃ、僕は祟らないけどさ。」 「ならいいじゃん。だって胃袋掴まれてるんだから私も誰にも負けない部位を掴んでおかないと。」 逃げられたくないからね。
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