愛しい時間

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二人でご飯を食べて、洗い物をして、買い物に行く。 まるで、一緒に暮らしてるような休日のひと時を過ごしながら、こんな時間がずっと続くことを願った。 買い物の帰りには、一緒に掛け声をかけてジョギングを開始し 「えっさ」 「おいさ」 「えっさ」 「おいさ」 すれ違ったおじさんに奇妙な目で見られ、私と藤木は顔を見合わせて笑ったべ。 お昼ご飯は簡単にラーメンにしようって言いだしたくせに、煮タマゴを作るから待っててと言われ、暇だったから居間に置いてあったDVDを適当に再生してやった。 大音量で。 あっはん、うっふんな映像が画面に現れ、あられもない声が大音量で再生されて、慌てて台所から藤木が走ってくる様子にお腹を抱えて笑ったべ。 「もうっ、見てもいいけど、もっと小さい音にしてよ。」 ぷりぷりしながら台所へ顔を赤くして戻って行った様子が可愛くて、DVDなんかよりもずっとムラムラした。 藤木の邪魔をしながら、ラーメンを二人で(ほとんど藤木一人で)作り上げて、どちらが豪快な音をたててラーメンを美味しそうに食べられるのかを競いあい、コタツの上に飛び散ったラーメンの汁の量を見て笑った。 昨日の予告まん類ホームランの宣言通りに、また肉まんとチョコまんを作り、昨日よりもずっと早い時間に食べ終えて、帰るまでの時間を惜しんで愛し合った。 当たり前のようにそこにあって、自分の心が温かくなる相手。 何をしても楽しくて、いつも笑っていられる相手。 それが、私にとっての藤木浩二という人だ。 名残惜しさをお互いに持ったまま車に乗って、私の自宅までの残り少ない二人の時間を穏やかな気持ちで過ごした。 「水曜日はさ、一緒に帰ろうよ。」 次の約束を笑ってしてくれる藤木に私も笑って 「会社の帰りにラブホにでも行くか。」 と言ってみたりした。 「ヤだよ。帰りたくなくなるし帰したくなくなるもん。そんなことして、絵里のご両親から悪い印象を持たれたくないし。」 私の親への気遣いを見せてくれる藤木をますます好きだと思いながら、運転する藤木の太ももに手を乗せた。
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