愛しい時間

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「おかしなことしたら、二人で天国か地獄行きだよ。」 私が藤木の太ももに置いた手のことを言ってるんだとすぐにピンときて笑ってしまったべ。 「おかしなことをしそうって意味なの?」 「うん、だって、エリーはいつも手つきがおかしいじゃん。」 笑いながら言われて 「そうだね。」 と納得してますます笑われた。 自宅の前まで送ってきてくれた藤木と別れるときが一番切ない。 もっと一緒にいられたらと思うけど、それを言うのは憚られる。 「ほら、早く家に入りなよ。」 「見送るってば。」 「ダメだよ、遠足は家に帰るまでが遠足だからね。」 「ふふっ、じゃぁ、コージーも気を付けて帰ってね。」 私が家に帰るまで見送るつもりらしい藤木の言葉に笑って、手を振りながら家に帰った。 ずっと続いて欲しい穏やかで楽しい時間だ。
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