交響曲第9番

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さっきまでムッとしていたくせに、お礼を言ったら微笑んだ。 その小さく口元が緩んだ顔に私の頬も緩む。 「ねぇ、こっちにきてよ。今日のエリーの服、気持ちよさそう。」 「ぶはっ、えっろいなぁ。なんなら、下着もお見せしようか?」 3歩進めば藤木の元に行けるような距離。 どうぞとばかりに藤木の正面に立ったのに、何もしてこないじゃないか。 それでも、男か。 「触らないの?」 「触るけど、堂々とこられるとなんか緊張する。」 あんなことやこんなことをしてる仲なのに。 服がある方が緊張するってか。 可愛いなぁ、おい。 私から、藤木の胸に飛び込み、背中に手をまわす。 もちろん、目的は藤木が私を触りやすくするためじゃない。 私が藤木のブラのチェックをするためだべ。 そして、前々からやってみたかったことを実行するチャンス到来。 見つけたブラのホックを利き手の右手でなぞる。 ホックの位置を確認。 片手で外してみたかったのだ。 こうやって摘まんで、持ち上げて・・・パチンと本当なら外れるはずだべ。 「こらっ、ってわわわっ。」 にんまり。 成功したようだべ。 「もうっ、エリーのバカ。」 ぷんぷん怒る顔も可愛いべ。 満足、満足。 ごそごそと背中に手をまわしてブラを直してる姿にむらむらくるべっ。 そのまま作業をする藤木にくっつき、クンクンと匂いを嗅ぐ。 「へへへっ。」 今日は、いつもよりも攻撃的だべ。 いつもと違うと自分で自覚してるような恰好だからかな。 「ちょっ、エリー。」 ブラを直したらしい藤木の手が私の背中にまわって、耳元に口を寄せられた。 「襲っちゃうよ?」 耳元で甘く囁かれるセクシーボイスに頷きそうになったけど、マズイべ。 藤木は変態絶倫男だから、お昼下がりのこんな時間に襲われて第9に行けなくなったら千恵さんに悪い。 抱きついた藤木の体を軽く押して離した。 「夜でお願いします。」 見上げてみたら、笑った顔。 「うん、僕もその方が賢明だと思う。」 その答えに二人で吹きだして、ニヤニヤした。
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