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「ねぇ、ねぇ、これって合唱のあるところだけってこと?今日は全部聴くの?凄く長いの?」
映像を見ながら藤木に話しかける。
聴く気があるのかと聞かれたら困るべ。
でも、そんな私の行動を咎めるわけでもなく普通に答えてくれる藤木はいいヤツだ。
「そうそう、今、流してる映像が合唱がある第4楽章で、これが最後なんだよねー。だから一人で聴きに行くときは第4楽章が始まる時間に行くんだ。はははっ。」
なんだ、藤木の育ちの良さから普段からこういうのを聴きなれているハイソな殿方かと思いきや、そうでもないのか。
「この楽器は、ヴァイオリン?こっちは?」
「チェロ。」
「じゃぁ、これは?」
「コントラバス。」
うん、教養レベルは私とは雲泥の差だべ。
全部、ヴァイオリンでいいと思うべ。
「これは、ラッパ?」
「ぶはっ、そうそう、ラッパでいいよ。トランペットだけど。」
背中で藤木が笑って揺れるのを感じる。
ラッパはラッパだべ?
「これは、私でも分かるよ、フルート。」
「じゃぁ、これは?」
藤木に聞かれて首を傾げたべ。
う~ん、藤木が指差した楽器の隣にクラリネットが映っていたような気がするから、これはクラリネットではない。
「分からない。」
「オーボエ。」
「オオボケ?」
「ぶはっ、エリーじゃん。ふふふっ。」
「さすがコージリアン3世は物知りだね。」
中学校の音楽の時間以来だべっ。
ちゃんとこういうのを聴くなんて。
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