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藤木にもたれ掛ってウトウトしながら、音楽を聴いていたら、藤木がゴソゴソと動いている。
目を開けて、後ろの藤木を振り返ると、私が動いたことが分かったみたいに笑った。
「寒いかなって思って布団を取ろうと思ったんだよね。」
片手をおもいきり布団の方に伸ばしてる妙な恰好。
優しい人だと思って立ち上がって、自分で布団を取った。
「一番上の布団でいい?毛布の方が好き?」
一応、聞いてみないとね。
布団よりも毛布の肌触りの方が好きってあると思うから。
「毛布の方が好き。でも、エリーの方がもっと好き。」
「ふふふっ。」
毛布を引っ張り出して、藤木に渡したら早く戻っておいでよとばかりに藤木の前をポンポンしてる。
遠慮なく、さっきと同じように藤木の前に座ってもたれかかった。
その私の膝の上にかけられた毛布が藤木の腰の後ろまでまわされた。
藤木の家の毛布は私が普段、自宅で使ってる年季の入った毛布とは違って柔らかい。
一人暮らしをするようになってから、買ったんだとしたらまだ新しいからかな。
毛布の柔らかな感触もいいけど、藤木にもたれかかるのもいい。
ただ、ちょっと変な恰好になっちゃうから、椅子としての座り心地を単純に追及したら劣悪品だ。
「ダ・ダ・ダ・ダーーーーーーンってのは交響曲第5番でしょ?」
音楽と言えばベートーベン。
ベートーベンと言えば『運命』な私の脳みそを見透かしたような笑い声。
「聴いてみる?」
「うん。」
藤木が私の後ろからマウスとキーボードを操作する。
いいべ、これ、いいべっ!!!
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