交響曲第9番

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藤木が再生させた動画。 自分でも聴いたことがある超有名な『運命』だべっ。 って言うか、私と藤木こそが運命だべっ。 ちょっとばかり興奮してきたけど、ここで叫んだら台無しだから大人しく映像が始まるのを待った。 キタキタキタキタキタキタっ!!! 指揮者が手を挙げて、空気がスウッと変わったべ。 そして、そこからのっ。 キターーーー!!! あの有名なフレーズ。 誰もが聞いたことのあるフレーズで始まった『運命』 大人しく耳を傾け、目を映像に。 繰り返される有名なフレーズ。 しばらく聴いて思った。 いつ終わる? まぁいいか。 目を瞑って聞いていたべ。 「あっ。」 藤木の声で目を開けて映像を見たら 「オオボケだ。」 「ぶはっ、おバカさん。」 そう、オオボエのソロだったべ。 ほんの短いソロだったけれども、オオボエという名前に違わず、私の耳には個性的でちょっととぼけたような音色の楽器に思えた。 そして、またしばらくしたら、見たことないような楽器がソロだべ。 こちらも短いフレーズだ。 「さっきの楽器、何?」 藤木に聞いたら教えてくれた。 「ファゴット。」 ふーん、名前、聞いたことがあるべ。 名前しか聞いたことがないと言った方がいいべ。 そうかファゴットか。 藤木は、物知りだべ。 それとも、素養の高さか。 お育ちが良いのか。 今日はそんな藤木のお育ちの良さに触れたってことだ。 そして、後から二人で第9を聴きにいくんだから、私のお育ちレベルも少しはアップすることを期待だべ。
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