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「まいう~。」
私が感想を漏らしたら、ふっと笑って嬉しそうな顔だべ。
コタツでプリン。
いつもの90度の定位置で微笑む藤木の横顔も好きだべ。
「今日のは特に自信作だからね。」
ふわっと笑う姿にムギュムギュだ。
プリンなんて、本当にそんなに言うほど好きじゃないけど、シンプルで素朴な味わいの藤木作のこのプリンは好きだ。
夢中で食べるってほどでもないけど、すぐに食べきってしまったべ。
「お替りあるよ?欲しい?」
「いや、いらない。そこまで好きじゃない。」
本音を言ったら悲しそうな顔をされたべ。
これじゃぁ、私が悪いヤツみたいじゃないかよ。
普通に考えたら、モノには限度があるべ。
プリンは1個でいいべ。
でも、藤木がせっかく作ってくれたんだし。
「夕飯、夕飯のデザートで食べたいかも。」
うん、我ながらいい答えを思いついたべ。
「じゃぁ、そうしようか。」
ホッとした。
好きな殿方に悲しい顔なんてされたくないべ。
「バニラビーンズとかさ、バニラエッセンスってあるでしょ?」
藤木に聞かれて頷いた。
お菓子マンなんですな。
そんなモノがいったいどうしたって言うんだよ。
「香水ってあるでしょ?」
これも頷いた。
「エリーの臭いみたいな香水とか芳香剤があったらいいと思うんだよね。」
ワッキーの臭いの香水なんてあったら嫌だべっ。
芳香剤もいらねーべっ。
絶句。
「毎日、絶対に興奮するし、やる気がでるからさ。ほら、匂いって五感の中で一番記憶に結びついてるって言うでしょ。」
記憶に結びついてる臭いがワッキー。
そして、それを嗅ぎたい藤木。
「変な趣味だね。」
「そう?僕、考えたんだけど、きっと僕だけじゃないよ。好きな人の体臭が大好きな人。エリーはもっと自分の匂いに自信を持った方がいいよ。」
返す言葉が思い浮かばないべ。
忌み嫌われてワキガは勘弁とまで言われたことがあるのに。
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