交響曲第9番

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返答に詰まって、下を向いてしまった私の足をコタツの中でツンツンしてくる。 もちろん、藤木の足でだべ。 顔を上げて聞いてみた。 「何?」 「嗅がせて?」 おいおい。 「変態!」 「ふふっ、ブラしてる程度にしか変態じゃないもん。」 可愛く笑う藤木に笑った。 私を笑わせようとしてるってか。 「使用済みの足の臭いの嗅ぎっこでもする?」 ストッキングでパンプスを履いてきた私の足は強烈だべ。 二度と嗅ぎたくなくなるかもしれないべっ。 我ながら、恐ろしい提案をしてみたと思うべっ。 「ぶはっ。エリーってさ、何でそんな普通、思いつかないようなことをポンポンと思いついて実行するのさ。あはは。」 朗らかな笑い声をあげて体を揺する藤木。 そして、おもむろにコタツ布団を捲ったと思ったら、コタツの海の中へ潜水。 足の臭いを嗅ぐっていう前提がなかったら、軽い変態っていうか痴漢行為だべ。 私も若干、足を藤木の方に向けてみた。 「ブハッ。あははははははははっ!!!」 盛大な笑い声とともに、コタツの海から浮上してきたべ。 そんなに面白いのか、コタツの海への潜水。 体を揺らしてゲラゲラ笑いながら、コタツの中に藤木が足を入れたのを確認した。 今度は私の番だべ。 自分の足の臭いなんて嗅ぎたくないけど、藤木の足なら私の足よりも清潔に違いない。 きっと臭わない。 臭わないことを願って。 そして、臭うとしたら、いい匂いなことを願って、いざ、潜水。 息を止めてコタツの中に顔を突っ込んで気が付いたべ。 息、しないと臭いを嗅ぐことができねーべ。 藤木の足を発見して近寄った。 どうせなら、鼻を付けてやれ。 グイ。 ビクっとした様子が足から伝わった。 もしや、くすぐったいってか。 まずは臭いを嗅がないと。 アレ? あんまり臭わないべ。 自分の鼻を藤木の靴下にくっつけてみる。 う~ん、ほのかな香り。 靴下にくっつけた鼻でスリスリしてくすぐってやるべ。 コタツの外で藤木が可愛らしい悲鳴をあげて足をコタツから抜いてしまったべ。 ちぇっ。
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