交響曲第9番

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藤木に笑いのツボを刺激されて、下を向いておかしさの峠が過ぎるのを待った。 それから、もう一度、顔を上げて舞台で演奏してる人達を見た。 生演奏で寝たら最高の贅沢だべ。 でも、藤木の家のコタツで寝てしまったから、眠気は来ない。 チラッと隣の藤木を見たら、今度は気持ちよさそうに目を瞑ってウトウトしてる。 頭が前後に揺れて、ガクンっとなったらハッとして目を開けて頭を振って神妙な顔をして音楽に耳を傾けているべ。 そして、また頭が前後に揺れ出す。 眠いんだ。 ついつい、自分の頬が緩んだ。 私よりも確実に教養レベルもお育ちの良さも上だと思う藤木でも眠たくなるんだ、クラシック。 安心だべ。 退屈だとは言わないけれども、正直、第9を聴きに行くと言われたときに退屈そうだと思わなかったと言ったらウソだべ。 楽しみで楽しみで仕方がないってことはなかったべ。 一応、一緒に行く藤木と私が恥ずかしくないようにと思ってそれなりのお洒落はしたつもりだけど、それでもやっぱり、楽しみだったとは言い難い。 藤木の家で予習と称して動画を見たときは、楽しそうだと思ったけど、それまでは全く興味がなかった。 今も、そこまで楽しんでるのかと言われるとどうだろうって感じだけど、隣に藤木がいるから楽しめるべ。 生演奏と藤木観察。 これで、千恵さんの出番まで間を持たせよう。 ヤバイ。 藤木の顔がヤバイ。 寝たらマズイと思って、必至に睡魔と戦っているんだろうけど。 大人しく目を瞑って寝ればいいものを、睡魔と戦って無理やり目を開けようとして眠たくなって目が閉じそうになってまた目を開けようとする。 その繰り返しで、白目になってるべっ!!! しかも、口元もダランとしてる。 すっごい不細工な顔になってるのが可愛いべっ!!! いまだかつて見たことない藤木の変顔に胸がときめいてるべっ!!! 面白すぎるっ。 写メ撮りたいけど、この状況でやったらダメって分かってるからできない。 あぁ、このムラムラ。 衝動。 落ち着けないべっ。 藤木の顔、チョー面白いぃ!!!
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