チラリとポロリの美学

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アイスを食べながら、ゆっくりと夜道を歩いて帰宅した私と藤木の体は冷えに冷えていた。 そのまま居間のエアコンとコタツをオンして藤木はお風呂の用意に行った。 寒い寒いと思って、コタツに足を突っ込み体を丸めて温まった。 冷え切った手足の指の先が温かくなりつつあるコタツの中でジンジンしてる。 冷たかった顔が、じんわりと熱気を帯びてきてるみたいで、でも耳だけがまだ冷えて痛い。 居間と台所の間のガラスを藤木がガラガラと開けて中に戻ってきた。 「うわっ、ちょっとの間なのにやっぱりこっちは暖かくなってる。」 嬉しそうに言って、コタツの中に入ってきた。 藤木の足が私の足に当たった。 冷えていた足が温かくなりつつあって、ジンジンする感じのところに藤木の足という刺激まで加わって変な感じだべ。 「寒いでしょ。足、冷えてる。一緒にお風呂に入ろうよ。」 普通に言ってのける藤木に、激しく首を振った。 「いや、遠慮しておきまっす。」 「えー、だって、前にエリー覗いてきたことあったじゃん。あんなチラリよりもバッチリ見せてあげるって言ってるんだよ?」 クスクスと笑う姿はきっと、前に私が脱衣所を覗いたときのことを思いだしてる。 「いや、だからチラリがいいんだよ。そんな見せてあげるって言われてポロリって出されたらさ・・・もちろんバッチリ見るけど。」 「ぶはっ、バッチリ見るんじゃん。」 体を揺らして楽しそうにケラケラ笑う姿に、私も笑った。 「そこにあったらバッチリ見るに決まってるでしょ。だけど、チラリに萌える。」 「はははっ。チラリに萌える気持ちも分かるけど、僕はポロリにも萌えるよ。ふふふっ。」 爽やかに変態発言をする藤木。 エロそうな感じなく、エロエロだべ。 こんな男の人もいたんだな。 ある意味、感心する。 普通な感じでエロもいくってか。 エロはエロ単体でもっとねちっこい感じが普通っぽいのに。 藤木のエロは中性的だ。
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