チラリとポロリの美学

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壁に掛けられた黒くて丸い時計をチラリと見て 「15分経ったからそろそろ時間だ。行こう。」 と、立ち上がって私の手を取り、私のことも引っ張ってくる。 本当に一緒にお風呂に入る気だべ。 「ぷっ、エリーの顔が赤い気がする。ふふふっ。」 うっ。 初めて、一緒にお風呂に入るとなったら緊張するべっ。 それなのに、藤木は楽しそうに笑うばかりで私の手をニコニコと引っ張って風呂場まで連行していく。 脱衣所の扉を開けて、私と藤木がきたところで扉を閉めた。 それからそのまま風呂場の扉を開けて、お湯を止めてる。 藤木の家は、古典的な風呂場だべ。 手動だ。 もくもくとあがっていた湯気が脱衣所の方までやってきて、うっすらと洗面台の鏡をくもらせてる。 乾燥した空気が湿気を帯びて、ザ・お風呂な雰囲気をどんどんと作り上げてるべ。 恥ずかしいのもあって、藤木の動きだけを目で追って、動いていなかった私の方に風呂場から戻ってきた藤木が寄って来た。 上から顔を覗きこまれて 「脱がしてげようか?」 ニコニコしながら言われても 「遠慮します・・・。」 と、目を逸らしてしまったべ。 「ぷっ。エリーの方が躊躇なくバッと脱ぎそうな感じなのにねぇ。いつもの調子だったらさぁ。」 明るく、普通に服を脱ぎだした藤木をチラっと横目で確認したべ。 だって、そこに好きな人の裸があったら、取りあえず見るべ? そして確認したりするべ? 戦闘状態になってるかどうかとか・・・。 風呂場で戦闘は開始しないけどさ。 いろいろ、盛り上がってるっていうか、体も心も・・・。 下着の長袖シャツの下に見えるブラの線。 私に背を向けてズボンを脱いでる後ろから触ってみたくなって手を伸ばしてみたりした。 「わっ。脱がないくせに触ってくるなんて変態だねっ。」 ズボンを脱ぎ終わって振り返って見てくる藤木。 「変態のコージーにお似合いな程度の変態だよ。」 「ぶはっ。それ、うまいね。ほら、脱がないと僕が本当に脱がせちゃうよ。」 自分で脱ぐのも恥ずかしいし、脱がされるのも十分に恥ずかしいべ。
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