チラリとポロリの美学

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「こっち、見たらダメだからね!」 あんなことやこんなことをした仲だからと言って、やっぱり明るい場所で晒すのは気が引ける。 見せびらかしたくなるほど、立派な体だったとしてもきっと気が引けるべ。 「えーっ、じゃぁ、今は見ないよ。楽しみは後からにとっておくことにする。」 「変態!」 「うん、ブラしてる程度のね。じゃぁ、先にお風呂に入って待ってるからねー。」 楽しそうな藤木の声。 そしてお風呂の扉を開けてもわっと湿気が増えたような空気を感じたら、扉が閉められたべ。 いっそ、このまま居間に戻ってしまおうかと思わないわけでもないけど、藤木とお風呂も楽しそうだと思う気持ちもある。 ここまで来たんだったらって感じだべ。 お湯で体を流してる音が聞こえる。 脱衣所には、私一人。 風呂場からはお湯の音。 脱衣所は静まり返って、私の服を脱ぐ音だけだ。 ドキドキしてきた。 こんなにドキドキしたのはいつ以来だべ。 初めて藤木とあんなこととかこんなこととかしたとき以来かもしれないべ。 着ていた服をキレイに畳んで脱衣所の隅っこに置いた。 今日の服はいつもみたいに適当に扱うような服ではないべ。 それから下着類は適当にポイポイッと脱いだけど・・・。 素っ裸は寒い。 洗面台の鏡に映る自分の裸をチラっと一瞥して、微妙だなと思った。 「エリー、早くおいでよー。」 藤木が呼んでるし・・・。 覚悟を決めて扉を開けてこそこそと中に入ったべ。 「見ないでよ。」 じっと見てくる藤木に言ったら 「見るに決まってるじゃん。」 と、爽やかに言ってのける。 桶にお湯を汲んで、ザバザバと体にかけて、早急に湯船の中に入るべ。
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