走るよ 師走

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自席に戻ったら、すでに机の上に紙の束が置かれてる。 そして、山田さんから声がかかる。 「トミー、それ、悪いけど打ちこんでもらっていい?それだけだから。1時間もあったら余裕だからさ。」 「アイアイサー。」 「ふはっ、いいねー。定時過ぎたら返事までテキトー。アイアイサー。」 返事はテキトーと言われても、仕事は猛烈だべ。 仕事が終わったら教えてと言っていたから、もしかしたら会えるかもしれないべ。 ほんのちょっとの期待感。 土日に会えてるのに、平日にまで会いたいのかよって聞かれたら、会いたいて答える鬱陶しさ。 女は鬱陶しい生き物だべ。 「ふぅっ、終わった。」 画面の右下のデジタル時計と競争するように打ちこみ作業に集中していたら山田さんに1時間と言われた仕事をジャスト40分で終らせられた。 「山田さん、終わったんであがります。」 「うわっ、鬼気迫る勢いだと思ったらこんな短時間で終らせたのかよ。すげー。お疲れ、助かったわー。」 「ウィッス。お疲れっしたー。」 「返事がおかしいって、ブハハ。」 残業してまで、楽しげなテンションを維持できる山田さんの方がおかしいって。 心の中で返事をして急いで更衣室に向かったべ。
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