走るよ 師走

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誰もいない更衣室で、急いで藤木に電話をした。 「もしもし?」 「あっ、仕事が終わったから。もう帰っちゃった?」 「ふふっ。まだ名古屋にいるよ。」 やっぱり。 そう思った。 仕事が終わったら電話してと言ってくれてたし、今日は一緒にご飯を食べて帰ろうって言ってたから。 頬が緩んだべ。 「もう、外?」 「まだ着替えてなくて、でも40秒で支度するから。」 「あはははっ。いいね。じゃぁさ、エリーの会社の近くまで今から歩いて行くよ。大きな交差点のところで待ってるから見つけてね。じゃーね。」 返事をしようとしたところで電話が切れた。 大きな交差点のところで待ってるって。 交差点のどこだべっ!!! 大きいから分からないべっ。 あぁっ、もうっ。 そんな風に思う気持ちもあるけど、嬉しい気持ちもあって。 急いで着替えて、コートを着て、マフラーをグルグルと首に巻きつけ外に向かう。 「うわっ、さっぶ。」 気温が下がってることもあるけど、今日は風が強いべ。 気温以上に体感温度が低いに違いない。 急ぎ足というよりも小走りに、道を進む。 周りを歩いている人も急ぎ足な人が多い気がするべ。 さすが12月。 師走だべ。
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