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早歩きから小走りになって目指す交差点まで来たところで藤木の姿を探すけど、いない。
アレ?
交差点ってここだべ?
「わぁっ。」
「うわぁっ!!!」
いきなり背中を軽くトンっと押されて脅かされてびっくりして叫び声をあげた私の後ろで爆笑する声が聞こえた。
まさか。
振り返ったら、体を折り曲げんばかりにして爆笑してる藤木。
やられたべ。
「お疲れ。」
笑い終わった藤木に言われて、素直に嬉しくなった。
やられたと思っていたはずなのに。
「どこにいたの?全然、気が付かなかった。」
「ん?エリーの会社の向こう側のコンビニ。ずっと待ってたよ。で、後ろからついて行ってここで脅かした。ふふふっ。会社から出てきたと思ったら早歩きっていうか小走りになるんだもん。」
全部、見られていたってことだべ?
藤木に会えるのが嬉しくて、急いでここまで来た経緯を全部見られていたってことだべ。
うわっ、恥ずかしいぃ。
「あんまり遅いようなら帰ろうかなって思ったんだけどさ。そんなに遅くならなくて良かった。」
ふわっと笑った顔。
藤木だ。
「ありがと。」
「うん。あっ、信号が青になったよ。どっちが先にってエリー、ずるいよ!」
藤木が言おうとした言葉が分かったから、言い終わる前にスタートダッシュを切ったべ。
どうせ藤木に追いつかれて掴まえられるって分かってるからさ。
「フォーーーーーーーー!!!」
「待ってよっ!!!」
人が歩いてるところをスイスイと避けて走るべ。
夜風が顔に当たりまくって冷たいのに、気持ちがいいべ。
後ろから迫る靴音。
ヤバイヤバイヤバイ!!!
あっという間に並ばれて、手を掴まれた。
「はぁっ、ズルいよっ。」
「はぁっ、いーじゃん。コージーの方が早いんだから。」
交差点を渡りきったところで、軽く言い合って笑った。
「チョー気持ちいぃ!!!」
「チョー気持ちいぃ!!!」
「あはははは。」
「ふふふふふっ。」
酔っ払ってなくても、チョー楽しいぃ!!!
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