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「何が食べたいケロ?」
「エリーが食べたいケロ。」
交差点でしばし叫んで歩き出したところで聞いてみた。
待っててくれたんだし、藤木の食べたい物を食べたいなと思ったからだ。
「分かった、駅裏のラブホへGO!!!」
藤木と繋いだ手を引っ張るように、力強く歩きだしたら笑われた。
「何でそこでノリノリになるのさ、おバカさん。」
「えっ?コージーが食べたいって言ったからじゃん。」
「ふふっ。休みの日にたっぷりたっぷり頂いてるのに平日の夜までそんなことしないって。また今度の休みの日にエリーを頂くよ。」
やらしーことのてんこ盛りな会話なのに、藤木がふんわりと笑いながら目を細めて言うと、やらしさがあまり感じられない。
まるで、今度の休みは何を食べるか、普通にそんな会話のように思えるべ。
「居酒屋 名古屋だっけ、あそこに行こうよ。」
藤木の口から出た言葉。
デートで行く店でもない気がするけど、悪くないべ。
藤木と二人でパスタとかって、想像できないし。
いんや、家で藤木の作ったパスタならアリなんだけどな。
「分かった、イッシーと山根がいたら笑えるね。」
あそこは、イッシーと山根も行ったことのあるお店だべ。
「はははっ、本当だね。」
楽しそうに笑う藤木の腕を引っ張った。
そして、藤木が何だろうって顔をするから聞きたいことを聞いてみる。
「今日はどんな色?どんな柄?」
「ぷはっ、そんなこと聞いてどうるすのさ。」
「今夜のおかずにしながら寝る。」
「ぶはっ、おバカさんだ。あはははっ。」
地下街を歩いて、目的のお店に向かってる最中。
楽しそうに笑う藤木の声を一番近くで聞けることが嬉しい。
「白は男のロマンだよね。」
「そっか、白か。白いブリーフとセットだったらそそりそう。」
「ぶはっ、エリーがそそってどうするのさ。」
「どうするって、そりゃ一応襲うかな。」
「あはは。意味が分からないよ。そこは男が襲うでしょ。」
うん、まぁ一般的にはそうだべ。
だけどなぁ。
「コージーのことは、襲いたいから。」
「で、僕に襲いかえされるんだもんね、絵里ちゃんは。」
それも、そうなんだけどさ。
不思議だべ。
卑猥な空気を帯びそうな会話を堂々と地下街で怪しげな空気を醸し出さずに続ける藤木。
ある意味、すげーべ。
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