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モグモグと肉じゃがをつつきながら、そうだ、もうすぐクリスマスだし藤木が欲しい物を聞き出さないとと思ったべ。
こっそりと欲しい物を察してあげられるほど、長く深い付き合いってわけでもないし、ここは単刀直入に聞くのがよかろう。
「クリスマスに欲しい物を教えてケロ。」
ネギマを持つ藤木の手が止まり、串をお皿の上に戻してお手拭で手を拭いてる。
その動きの一つ一つが優雅だべ。
ここは居酒屋なのに。
キレイに拭かれた手が私の鼻を摘まんできた。
「この人。」
どうやら、それが答えらしい。
そして
「エリーの欲しい物は?」
と、聞いてきた。
私だって藤木が欲しいさ。
別に、わざわざ藤木から物をもらいたいなんて思わないし。
「う~ん。」
でも、聞かれて抽象的な答えをされると用意する方は困るべ。
高価な物はいらないし。
特に欲しい物もないって言うか、自分で買えばいいだけだべ。
「藤木の使用済み下着。」
「ぶはっ、変態だ。」
「使用済みじゃない下着でっ!」
「それでも十分変態だよ。」
「あれがいい、勝負よブフ#$%&」
藤木の手が私の顔半分を覆ってきたべ。
温もりを感じてちょっと嬉しくなったとか、藤木の匂いがして嬉しかったとかは思っても言わないけど、胸の奥にウズウズきた。
少し怒った顔も可愛いべ。
「分かったから。あげるから言わないで。」
顔でいいねと念押ししてくるから、頷いたら覆われた手が外された。
あっ。
ちょっと残念な気持ち。
顔を覆われていたのはそんなに長い時間じゃなかったのに、淋しくなってしまったな。
その気持ちをなかったことにするように、グラスの中のビールをグビッと煽った。
「ぷはーぁ。」
「ふっ、いい飲みっぷりだね。」
藤木がお酌をしてくれるから、グラスを傾けた。
あぁ、好きな人と飲む酒はうまいなぁ。
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