走るよ 師走

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「お母様、そこをお退きになってくんなさい。」 やんわりと母親を押しのけて藤木の前に立った。 「おはよう。」 ウホッ。 今日も彼氏が眩しいべ。 もちろん、当社比というか自分比というか、比べる相手なんていないんだけど、好きな相手は眩しいのさ。 「おはよ。」 親が見てると思うといつもはハチマキを巻いて『突撃!!!』な感じだったとしても、トーンダウンだ。 それも全部分かってるような感じで微笑む姿に、キュン死で爆死。 「気を付けてねー!避妊はするのよー!」 余分なことを言うのはオバサンの証拠だべっ! 母親を振り返って睨んでみたけどどこ吹く風だべ。 「もしも失敗してもちゃんと責任取りますから安心して下さい。」 フォーーーーーーーーーーー!!! 「あらもう、信用してるわよー。」 と、手を振ったマミーの姿を早く消すために、玄関を閉めた。 母親も母親だけど、藤木も藤木だべっ。 ちゃんと責任取りますからって!!! 一人で興奮&脳内会議を開始しそうになっていたら、荷物をひょいっと奪われてカラカラと笑われた。 「責任取ったら作ってもいいってことなのかなぁ、あはは。でもしばらくは二人で楽しみたいよねー、あはは。」 笑う藤木の後ろ姿を見ながら、ついて行く。 ドキドキしてるべ。 私の中の想像の未来で、私の隣に立つのは藤木だけど、藤木の中の想像の未来でも、藤木の隣に立つのは私でいいってことだ。 いつ言うの? 今、じゃないべ。 ちゃんと、それなりの雰囲気で言わないと。 山田さんみたいに酔った勢いとか、その場の勢いで言ったら・・・それも思い出の一つだけど、いま一つだべ。 先輩の忠告は聞いておくべっ。
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