走るよ 師走

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藤木の車に乗って、興奮気味だった自分を落ち着かせてみる。 落ち着いたか? うん、きっと大丈夫。 「今日は新鮮なお魚を食べようと思ってさ。エリーはお刺身、好き?」 こっちを見てくる藤木に、 「生身の魚も好きだけど、生身のコージーはもっと好き。」 「ぶはっ、朝からエロエロだね。」 体を揺らして笑ういつも通りの姿に少し安心だ。 さっきの、親へのアグレッシブな言葉ですっかりペースを乱された思いだから。 エンジンをかけてゆっくりと動き出す車。 「新鮮なお魚って、漁港にでも行くの?」 「ぶっ、行かない。」 笑う藤木の横顔。 ハンドルを握る手。 そして、見えないけれども、ブラに包まれた胸。 どれもこれも、私を興奮させるのに十分だ。 「スーパー?」 「う~ん、スーパーかなぁ。刈谷のハイウェイオアシスにいろいろ売ってるところがあって、そこの魚屋さんが新鮮な魚を安く出してるって話だから行こうと思ってね。」 「へー。テレビで見たことあるよ。」 「あっ、そうなんだ。いつだったかアンジーに聞いたんだよね。アレ?ジェームズの方だったかな。」 ダメだ、アンジーでもジェームズでもいいけど、あの夫婦は思い出すだけで面白い。 ついつい頬が緩む。 藤木のヘルメットアフロを作りだしたジェームズも面白いけど、年中無休でダイエットをしてるはずなのにコンビニで餌を調達していたアンジーの姿も面白かったべ。 それに、焼肉屋で鬼のようにガンガン注文していた姿も面白かったべ。 あのときは、まだ藤木とこんな関係にはなってなかったんだっけ。
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