走るよ 師走

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「エリー、高いところって大丈夫?」 高いところって何だ? 高さ? 値段? 「エクスペンシブってこと?」 「ぶっ、違う、ハイな場所は大丈夫か聞いた。」 なるほど、そっちか。 笑ってる横顔を見ながら、会話するのはやっぱりいいべ。 「多分、大丈夫だけど。あっ、まさか観覧車だ。」 「ふふふっ、後で乗ろうよ。けっこう大きな観覧車があるみたいだし。」 ハイウェイオアシスにある観覧車に藤木と二人で乗るってか。 まるでカップルのラブラブデートだべっ。 「観覧車の中でいちゃついてハッスルする?」 「ぶっ、どうしてそうも肉食な発言をするのさ。おバカさんだよね。」 はい、おバカさんです。 「ハッスルはしないけど、キスならするかもね、あははっ。」 人のことおバカさんって言っておいて藤木も十分おバカさんだべ。 キスならしちゃうってか、あはは。 藤木なんて全然肉食に見えないのに、実はけっこう肉食だし変態だし絶倫だ。 「じゃ、観覧車の中で本日の下着を見せてもらおうっと。」 「えっ、ヤダよ、恥ずかしい。」 「コージーが恥ずかしがる姿がまたそそるんじゃん。」 「じゃエリーの服も剥がすよ?」 おいおい。 なんで藤木が言うといやらしさがあんまりないんだろう。 不思議だ。 やっぱり、お育ちの良さなのか? 「却下。そうだ、ハイウェイオアシスの中にえびせんべいの試食が食べ放題のお店があるって前にテレビで見たからそこも行こうね!!!」 「うん、いいよ。楽しそう。」 下着見せろだの服を剥がすだのって会話も楽しいけれども、ここは爽やかなデートを演出するべく、今から行く場所の話題で盛り上がるべ。 「あと、テレビで凄いトイレが映ってたからそこも行こうねっ!!!」 「うん。いいけどトイレって別行動じゃんっ。」 言われて気が付いたべ。 確かに。 どんなに凄いトイレだったとしても一人か。 「エリーの叫び声が男子トイレにも聞こえてきたりしてね、あはは。」 しかも、それ、ありそうだべ。 「叫ばないよ!!」 「本当?」 「うっ、多分。」 「あははっ。」 藤木に私の行動が読まれてるべ。
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