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藤木の車のナビに従って、大きな道を走ってる。
このあたりは、あれだべ。
自動車産業が盛んだから、そっち系の優良企業がたくさんあるはずだべ。
うん、見知ったような名前の会社名がナビの地図上に現れたりする。
「私も就職活動するときに、大きな会社を受けたら受かったりしたかな。」
なんとなく発した言葉だったけど。
「どうだろうね。でも今、勤めてる会社じゃないところに就職してたら僕と出会ってないかもしれないよ。それはイヤだな。」
耳に心地よい藤木ボイス。
その心地よい響きは、音だけじゃなくて言葉もだ。
「そっか。」
「うん、今の会社に不満でもあるの?」
聞かれて思った。
即答できる。
「ないよ。忙しくなければ定時で帰れるし、定時で帰ることを推奨してるし、社長も愛妻家だし。それに一緒に働いてる人も愛妻家でマイホームパパだったりするし。いい人ばっかりだよ。」
「やたら愛妻家が多いんだね、あはは。僕の働いてるチームのチームリーダーも愛妻家だよ。」
こんな共通点だったとしても、恋する乙女には運命だべっ?
「そっか、チームリーダーって愛妻家なんだ。どんな人なの?」
藤木と山根と新藤さんの弟の新藤勇気君が同じチームだとは聞いてるけど、チームリーダーがどんな人なのかなんて会話は初めてだべ。
「どんな人かぁ。エネルギッシュな人かな。それに、オンとオフの切り替えがはっきりしてる。で、水曜日はノー残業デーなのもチームリーダーが作った独自ルール。チームリーダーの奥さんの会社が水曜日はノー残業デーなんだって。一緒に過ごしたいから僕たちのチームは水曜日がノー残業デーなんだよ。」
「ふはっ。オンとオフの切り替えがはっきりしてても、おもいきり公私混同してんじゃん。」
ウケるべ。
水曜日がノー残業デーな理由がかなり面白いべっ。
「言われてみればそうだけど、ノー残業デーのために頑張ってるときが一番効率よく仕事ができてる気がするから、僕はいいと思うな。」
なるほど。
分かる気がする。
定時で山田さんと小鳥遊さんとあがるようになってから、確かに私も定時までに仕事をなにがなんでも片付けたくて効率よく仕事をしてる気がするべっ。
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