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藤木との会話もそこそこに流れる景色を見ていた。
車が多い。
そして、目的地に向かって車が続く。
「駐車場、空いてるかなぁ。」
確かに、この車の多さだとどうだろうって感じだべ。
そして、遠目にも見える駐車場の混雑具合。
かなり大きな平面駐車場が満車なんじゃなかろうか。
空いてないかもと思いつつ、心は刈谷のハイウェイオアシスに向かってるべ。
だってさ、大きな観覧車が見えてるべ?
そして、遊園地というにはお粗末な感じの遊園地が見えてるべ?
「あっ、道を挟んだあっち側も停められるみたいだ。あっちにしよう。」
藤木の独り言なのか私にも話しかけたのか分からない言葉を聞き流しつつ、久しぶりに味わうワクワクを感じる。
藤木の服を剥がすときとは種類が違うワクワクだべ。
そう、まるで遊園地に行くときみたいな。
旅行の計画を立ててるときみたいな。
「やった、あそこが空いてる。」
藤木が空いてる駐車場を見つけて素早く車を停めた。
「ラッキー。諦めて帰らないとダメかと思った。」
笑う藤木の顔を見た。
うん、藤木だ。
二人で車を降りて思った。
さすがに寒い。
そして、藤木の手を握って自分のコートの中に私と藤木の手をしまった。
「ふふっ。」
藤木の笑い声が聞こえた理由は、分かってる。
私のコートの中に手をしまったからだべ。
でも、藤木が最初にやったんだし。
第9を聴きに行ったときに。
「どこに最初に行きたい?」
聞かれても、ハイウェイオアシスの知識が凄いトイレとえびせんべいの試食し放題と観覧車だけだべ。
「寒いし、まずはトイレで落ち着いてから。」
「ぶっ。興奮して叫んだら落ち着いてるって言わないよ?」
私が叫ぶことは藤木の中で決定事項のようになってる。
そして、自分でも叫ばない自信がないところが痛いべ。
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