走るよ 師走

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平面駐車場から目的の建物群まで歩くと、どうやら階段を登らないとダメじゃん・・・。 スロープもあるけど。 仕方がない。 ここはやっぱりポケットの中の藤木の手をポケットの外に。 そして! Bダッシュ!!! 「フォーーーーーーーー!!!」 「あっ、こら、エリー。」 親と子供ではないべ。 カップルだべっ!!! なぜ、走ってそこを登るのか。 答えは簡単。 そこに階段があるからだべっ。 先にスタートを切ったはずなのに、あっさりと藤木に追いつかれて手を捕まえられた。 「はぁっ、もう、おバカさんなんだから。それに目立ってたよ。」 階段を登りきったところで、小言を頂戴したべ。 「いいじゃん。おかげで体も温まったでしょ。」 急に立ち止まった藤木が私を見下ろしてくる。 な、なんだべ? なんかドキドキしてくるべ。 何を言われるんだべ。 ベシッとおでこを繋いでない方の手で叩かれた。 「お仕置き。ふはっ。」 痛くもかゆくもないし、藤木の『ふはっ。』にむず痒い。 そして、やられっぱなしの私ではないべ。 私も一歩藤木に接近。 見上げる藤木が挙動不審気味に目を動かした。 まぁ、確かにかなり近い位置に移動したからね。 そして、繋いでない方の手を藤木の体の後ろにまわして・・・ ムギュムギュ!!! 「っわわわっ、ってこらっ!!!」 ヒヒヒ。 お尻の丘を掴んでモミモミしてあげたべっ。 怒った藤木が可愛いべ。 「あはははははっ。」 「っもうっ!」 藤木の怒った顔と私の笑った顔。 いつもと同じだ。
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