走るよ 師走

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はふはふしながら、ラーメンを啜って、大量にトッピングされた肉にむしゃぶりつく。 そして藤木が食べる味玉が物凄く美味しそうに見えてきた。 「ねぇ、ねぇ、チャーシューと味玉の半分、交換しようよ。」 交渉開始だべ。 「えーっ。僕のタマゴなのに?」 小首を傾げて可愛らしく聞いてくる姿に萌えてる場合じゃないべっ。 「ダメ?」 「仕方ないなぁ。今夜はエリーを寝かさないってことで交渉成立だね。」 交渉の前に『性』の字を入れそうになってる自分の頭を振って、藤木のどんぶりにチャーシューを2枚投入。 「2枚もいいの?」 「うん、いいよ。」 「ありがと。今夜は出血大サービスだからね。」 「いや、出血するようなことはやめてケロ。」 「ぶはっ、そういう意味じゃないケロ。」 楽しそうに体を揺らして笑う藤木の姿を見て、可愛いし好きだと思うべ。 いつだって、こうやって穏やかにエロいことを言って笑わせたい。 藤木にもらった味玉。 味玉は味玉だべ。 美味しかった。 「美味しいね。」 「そう?じゃぁ、僕も作ってあげるよ。一緒にいっぱい作って食べようね?」 にっこりと笑われて、ついつい頷いたけど、そこまで好きじゃないってば。 私はタマゴリアンじゃないってば。 でも、藤木の嬉しそうに笑う顔に弱くて、タマゴを悪くは言えないべ。 そして、いつもの恋愛パターンに落ちて行く予感。 好きな人の好きな物を好きになってしまうってヤツ。 このままいったら、私がタマゴリアンになる日も近い。 間違ってないべか? これが正しい恋愛か? 自問自答してみても、藤木のことが好きすぎて冷静な判断は下せない。
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