走るよ 師走

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ラーメンを食べてお腹がいっぱいになった私と藤木は、えびせんべいの試食に行く前に観覧車に乗ってみることにしたべ。 「休みの日なのに混んでない観覧車。」 私の感想に笑いながら 「お昼時だからみんな食べに行ってるだけで、本当は行列ができるかもしれないよ。」 と言ってくる。 絶対に行列はできないと思うべ。 それでも、前に2組いらっしゃって、その後に続いた。 「観覧車に乗るなんていつ以来だろう、ワクワクする。」 「前に乗ったのは、元彼と?」 悪気なく言った言葉に食いつかれて意外だと思ったべ。 藤木の口から元彼を気にするような言葉を聞いたことってあったっけ? いや、ないような気がする。 同じように、私も藤木の元カノの存在は気にしたことがなかった。 いや、少しぐらいは気になっても気にしないようにしてきたべ。 私が藤木を見上げたら、スッと視線を外された。 それから、バツの悪い顔をして 「ごめん、変なこと言った。」 とボソッと言われた。 変なことと言うよりも、珍しさから見てしまっただけだべ。 そして、観覧車の順番に。 「前に観覧車に乗ったのはナガシマスパーランドの大観覧車。相手は友達。学生のときに行ったきりだよ。」 何が悲しくて友達と観覧車に乗った話を告白してるんだ。 でも、藤木が見せてくれた元彼への対抗意識か嫉妬みたいなモノに気分が良くなってしまったのも事実だ。 嬉しそうな顔を見せてくれるんだけど、私も聞いてみるべか? 「コージーが前に観覧車に乗ったのはいつ、どこで、誰と?そして観覧車の中でお約束のようにキスした?」 嬉しそうに笑っていた顔が硬直、そして目をそらされたことで答えが見えた。 面白くない。 「前に、栄で、女の子と。」 キスまでしたこと決定だべ。 面白くない。
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