走るよ 師走

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「ふーん。」 「エリー、そんな顔しないでよ。じゃぁ、僕とここでキスすればいいじゃん。」 「違う、栄で観覧車に乗ってキスしないと意味がない。」 思い出の上書きは、ちゃんと同じ場所でしないと意味がないべ。 「ふふっ、可愛い。じゃぁ、クリスマスに栄で観覧車に乗ってキスしようよ。で、今からここでもキスしようよ。」 向かい合わせで座っていたはずなのに、藤木がこっちにやってきた。 そして、隣に座ってきて肩を抱かれて・・・。 可愛い藤木が男に変身。 「こっち向いてよ。」 あぁ、藤木ボイスで私の体は藤木の言うことを聞くようにできてるべ。 至近距離に藤木の顔。 ふわっと笑って、優しいキスが唇に。 景色を楽しむべき乗り物で、藤木とのキスを楽しんでるべ。 これぞ、大人の嗜みだ。 「ふふふっ。もっとしたくなってきた。」 可愛い顔をしながらも、男だ。 そして、可愛い藤木も大好きだけど、男の藤木も大好きだべ。 これは、もう、ねっちょねっちょの大人のキスでゴーゴーヘブンだべっ。 藤木の頭に片手を伸ばして後頭部からグイっと私の方へ寄せて、吸引!!! 目を開けたまま吸引だべ。 驚く藤木の顔を見たままで吸引。 反対の手はもちろん、藤木の胸元に伸ばして大好きな藤木の胸をまさぐらさせていただきまっす!!! 「プハッ。こらこらこらこら。」 強引な吸引からさらに強引に逃げて、私の手を掴んでくる。 せっかくの吸引&お胸の捜索が台無し。 「そういうのは、夜にしてよ。」 「待てなかったんだもん。コージーが煽って来たから。」 「煽ってないよ。おバカさんだね。」 ふわっとまた笑った。 そういう顔も声も好きだから煽られるのに。 仕方がないから、そのまま藤木によりかかるだけで我慢だべ。 私の肩を抱く藤木の手が髪の毛を撫でる。 気持ちがいいから目を閉じた。 観覧車の中で目を閉じるなんてもったいないけど、今は藤木の手の感触を楽しむことが先だ。 ほんのちょっとの二人きりの時間。 ついつい、手を藤木のご神木に伸ばしたら 「こらっ。」 笑った声とともに手を掴まれて私の膝の上に手を返品された。 残念だけど、笑った藤木の声と楽しそうな顔が見られたからよしとしておくべ。 続きは藤木の自宅でだ。
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