走るよ 師走

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ゴボウが意外にも美味しかったから同じ野菜系せんべいということでたまねぎせんべいにも手を伸ばす。 想像よりもずっと美味しいモノを食べてしまうとついつい笑顔になってしまうべ。 「美味しいんだね。ゴボウと玉ねぎは買いだ。」 私の顔を眺めて、そう言った藤木の顔も笑っていた。 味覚が似てるんだと思う。 もちろん、タマゴに対する熱い思いを除いてだべ。 「エリー、どれにする?美味しかったのはゴボウとたまねぎだよね。それと、僕はチーズのも好きだからこれも。あぁ、わさびもいいな。」 ブツブツ言いながら、どんどんカゴの中にせんべいを投入していく藤木。 まさかの大人買いだべ。 なるほどな、藤木みたいな輩がいるからどんだけ試食をさせても痛くもかゆくもないんだべ。 やりよるな、えびせんべい屋。 私を振り返った藤木が 「これぐらいでいいと思う?もっと欲しい?」 と笑いかけてくる。 どんだけ買ってんだよ!!! ついつい突っ込みたくなった。 足りないなんてことはないべ? カゴの中、いっぱいにせんべいが入ってるじゃん。 「いや、それぐらいあったら今後しばらくはせんべい三昧できると思うよ?」 「だよねー。おかずを作るのが面倒なときはおせんべいをおかずにすればいいかと思って。」 ウホホホホホホホホホ!!! せんべいをおかずに主食を食べるってか!!! 確かに、私も大学生のときにおにぎりだけ学校に持って行って、生協でおかずを買おうとして財布を開けたら50円しか入ってなかったときに、お菓子コーナーでソースカツのぺらぺらのを買ってそれをおかずにおにぎりを食べたことがあんべ。 だけど、いい大人が同じノリでご飯を食べるのか。 いいぞいいぞ。 藤木の好感度がグングン上昇中だべ。 今更下降したところで好きな気持ちはなくならないけど、もっと好きだ!!!
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